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【危険】信号待ちでNレンジに入れるのはNG!実は燃費も悪化します【車の正しい停車法】2025.05.16
今回は、「信号待ちでNレンジに入れるのって燃費が良くなるんでしょ?」「下り坂では惰性で走れるからNレンジのほうがいいんじゃない?」というような、よくある誤解について、しっかり解説していきます。
先に結論を言ってしまいますが、
信号待ちでNレンジに入れるのは間違いですし、
走行中にNレンジに入れるのは無意味を通り越して危険行為です。
今回はその理由を、実際の構造や制御の仕組み、安全面、さらにタクシーがNレンジを使うケースまで踏まえて、わかりやすく解説していきます。
【1】信号待ちではNレンジは危険!ブレーキを踏んでDレンジで待つのが正解
まず最初に、「信号待ちではNレンジにしたほうが燃費がいいんじゃないの?」という疑問。
たしかに、Nレンジに入れると、エンジンが駆動系から切り離されて、トルクコンバーターへの負荷がなくなります。
その結果、ほんのわずかに燃費がよくなることは理論上はあります。
でも、これは昔の話。
現在の多くの車、特にCVT搭載車や一部AT車には、ニュートラルアイドリング制御と呼ばれるシステムが搭載されています。
これは、停止中にDレンジでも自動的にクラッチを切って、エンジンの負荷を軽減してくれる仕組み。
日産では2006年ごろから導入されている技術ですね。
つまり、現代の車では、わざわざNレンジにするメリットはほとんどないんです。
【2】Nレンジにしているのを忘れて急発進事故に!?
もっと問題なのは、安全面。
信号待ちでNレンジに入れ、サイドブレーキやパーキングブレーキをかけて、ブレーキペダルから足を離して待つとします。
でも、その状態から青信号になって急いで発進しようとしたとき、
「Nのままだった!」と慌ててシフトをDに入れ、急にアクセルを踏む。
このとき、エンジンが高回転の状態でシフトチェンジが行われてしまうことがあります。
結果、車が急発進し、大事故につながる可能性があるんです。
実際、NレンジからDレンジへのシフト操作ミスによる事故は少なくありません。
Nレンジはあくまで、「レッカーけん引時など、特殊なケースのためのモード」。
普段の運転では、原則使わないという意識を持ったほうが安全です。
【3】ブレーキを踏んで待つことの意義
「じゃあ、ずっとブレーキ踏みっぱなしって疲れるんじゃ?」
たしかにそう感じるかもしれません。
でも、ブレーキを踏んでおくという行為は、
「今、自分は停車している」ということを自覚的に意識し続けるという、非常に重要な安全要素にもなっています。
これがNレンジでブレーキから足を離してしまうと、気が緩みがちになり、うっかりミスの原因にもなります。
それでも、「長い信号」「踏みっぱなしで足が疲れる」という場合には、
Nレンジではなく、Pレンジに入れて待機するのが安全です。
Pレンジであれば、シフトミスによる発進事故も防げますし、車も完全に動かなくなります。
【4】昔の車と今の車では事情が違う
ここで、「でも昔はNレンジで待ってたよ?」という方もいると思います。
たしかに、20年~30年前の車では、トルクコンバーターに常に負荷がかかっていたため、
信号待ちのたびにNレンジに入れるという運転スタイルも見られました。
ですが、現在の車は違います。
ドライブレンジのままでも車に無理な負荷がかからないよう、制御プログラムや油圧制御がしっかり最適化されていて、
多少のアイドリング停車でトランスミッションが壊れるなんてことはまずありません。
むしろ、余計な操作をしてミスを誘発するくらいなら、
シンプルにDレンジ&ブレーキ踏みっぱなしが、結果的にはトラブルを減らす一番の方法なんです。
【5】走行中にNレンジに入れるのは“絶対NG”!燃費も安全性も最悪
次に、「下り坂ではNレンジにして惰性で走ったほうが燃費がいいのでは?」という疑問。
これも、結論から言うと完全に間違いです。
むしろ、燃費は悪くなる上に、危険性が極めて高いです。
なぜかというと、現代のエンジン制御では、
アクセルを戻している状態で走行していると、エンジンへの燃料供給をカットする「燃料カット制御」が働きます。
たとえば、下り坂などでアクセルを踏んでいないのにエンジン回転数が高い、という状況では、
実はエンジンにはほとんど燃料が供給されていないんです。
ところが、Nレンジに入れるとこの燃料カットが機能せず、
エンジンはアイドリング状態になってしまい、無駄に燃料を消費してしまいます。
つまり、「下り坂でNにすれば惰性で燃費が良くなる」というのは、まったくの誤解。
【6】エンジンブレーキが効かないという“重大なリスク”
さらに問題なのは、安全性。
Nレンジに入れると、エンジンブレーキがまったく効かなくなります。
下り坂などでエンジンブレーキを使えないということは、
フットブレーキだけで車を減速させることになります。
この状態が長く続くと、ブレーキに熱が溜まり、フェード現象やベーパーロック現象といった、
制動力が著しく低下するトラブルを引き起こす可能性があります。
これは非常に危険です。
特に長い下り坂では、エンジンブレーキを積極的に使いながら速度をコントロールすることが、
車の安全な走行には欠かせません。
Nレンジではそれが一切できないため、命に関わる問題にもなりかねません。
【7】じゃあ、なんでタクシーはNレンジに入れてるの?
ここまでで、「じゃあなんでタクシーの運転手さんってNレンジに入れてる人がいるの?」と疑問に思った方もいると思います。
実は、タクシー専用車両には、
NレンジやPレンジにシフトを入れるとアイドリングストップが作動する仕組みが搭載されていることがあるんです。
代表的なのは「クラウンコンフォート」などのタクシー専用車。
これらの車は、信号待ちなどでNに入れると、自動でエンジンが停止するような設定になっています。
つまり、これは一般車とは制御システムそのものが違うんです。
でも、現在の市販車でも、Dレンジのままでもアイドリングを制御する「ニュートラルアイドリング制御」や
「アイドリングストップ機構」があるので、わざわざNに入れる理由はもうありません。
【結論】Nレンジは緊急時や牽引時のためにある
というわけで、今回のまとめです。
- 信号待ちでは、Dレンジ+ブレーキで待つのが最も安全
- 長時間の停止はPレンジがベスト
- Nレンジは、けん引や特殊な場面専用
- 走行中のNレンジ使用は、燃費悪化&超危険行為
- タクシーがNを使うのは特殊車両のためで、一般車には不要
車を安全に、かつトラブルなく運転するためには、
「余計な操作はしない」というのが一番のコツです。
皆さんも、今日から「信号待ちのNレンジ癖」、やめてみませんか?
以上、今回は「信号待ちや下り坂でのNレンジ使用」について解説しました。








